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リフォーム瑕疵保険とは?5年・1年の対象と着工前の頼み方・倒産時の請求

リフォーム瑕疵保険に工事後から入れるかという問いに、入れず着工前に事業者が申し込むと答え、検査と保証の仕組みなど3つの根拠を添えた図
村上 健司(住まいの解決広場 編集長・建築士)
この記事を書いた人
村上 健司(建築士 / 元現場監督)

「住まいの解決広場」編集長。大手ハウスメーカー2社で現場監督および統括責任者を歴任し、累計15,000件以上の現場に関わる。詳細プロフィール

リフォーム瑕疵保険とは、リフォーム工事をする事業者が着工前に申し込み、保険法人の現場検査に合格した工事について、工事した部分の欠陥を直す費用を保険金でまかなう任意の保険です。保険期間は、工事した部分のうち構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分が5年間、その他の部分が1年間で、工事が完了した引渡日から始まります。発注者が自分で申し込むことはできず、工事の完了後に加入することもできません。

「屋根と外壁の工事をお願いする予定です。見積もりに『瑕疵保険』という言葉があったのですが、入ったほうがいいのか、工事が終わってからでも頼めるのか、よく分かりません」

保険と聞くと、自分で窓口に申し込んで入るものと思うのが自然です。ところがリフォーム瑕疵保険は、申し込む人も、入れる時期も、ふつうの保険とは違います。

ここでは、保険の仕組みと法律上の位置づけ、5年と1年の対象になる部分、対象にならない工事と損害、加入を頼むかどうかの判断材料と頼み方、不具合や事業者の倒産のときの請求、話がこじれたときの相談先を、国土交通省、住宅瑕疵担保責任保険協会、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの資料と法令をもとに整理します。

村上 健司 村上 健司

雨漏りの修理で伺う家で、何年か前に屋根や外壁のリフォームをしたと聞くことがあります。そのときの保証書や保険の書類を見せてほしいとお願いすると、どこにしまったのか分からなくなっていることがあります。

保険が付いたかどうかは、口頭の説明で済ませずに書面で受け取り、工事の契約書と同じ場所にしまっておいてください。後で不具合が出たとき、どこに連絡すればよいかをたどる手がかりは、その書類です。

この記事の要点
  • リフォーム瑕疵保険は、検査と保証がセットになった保険で、加入するのは発注者ではなく工事をする事業者。加入は任意で、法律上の義務ではない。
  • 保険期間は、工事した部分のうち構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分が5年間、その他の部分が1年間で、工事が完了した引渡日から始まる。保険内容によって異なる場合がある。
  • 着工前の申込みと、保険法人が定める現場検査への適合が条件で、工事の完了後に加入することはできない。
  • 解体・撤去・清掃・外構の工事、地震や台風などの自然災害、シロアリ被害、建物の劣化は対象外。事業者が倒産などで補修できないときは、保険の対象になる不具合であれば発注者が保険法人に直接請求できるが、免責金額は発注者の負担になる。
  • 事業者との話がこじれたときは住まいるダイヤルに相談でき、保険が付いた工事の請負契約などをめぐる紛争は、住宅紛争審査会のあっせん・調停・仲裁を申請料1万円(一部の保険付き住宅は1万4千円)で利用できる。

リフォーム瑕疵保険とはどんな保険なのか

リフォーム瑕疵保険とは、リフォームを請け負った事業者が任意で加入し、国土交通大臣が指定した保険法人の検査員が工事中・完了後に現場を確かめたうえで、工事部分の欠陥を直す費用を支える保険です。保険金は原則として事業者に支払われ、発注者は欠陥を無償で直してもらえます。

国土交通省や住宅瑕疵担保責任保険協会の資料では「リフォームかし保険」と平仮名で書かれていますが、どちらも同じ保険を指します。この記事では、出典の名前を挙げるとき以外は「リフォーム瑕疵保険」と書きます。

検査と保証がセットになっている

国土交通省の「リフォームかし保険について」は、この保険をリフォーム時の検査と保証がセットになった保険制度として紹介しています。同じページによると、工事中と工事の完了後に、第三者の検査員が現場検査を行います。

住宅瑕疵担保責任保険協会の「かし保険全般に関するご質問(リフォーム)」によると、検査をするのは、建築士または適合判定資格者の資格を持つ保険法人の検査員です。この検査に合格しなければ、保険には加入できません。

工事の後で欠陥が見つかったときは、補修費用などが保険金として支払われます。住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住宅瑕疵担保履行法に基づく瑕疵保険の紹介」は、保険金が事業者(倒産等の場合は発注者)に支払われ、発注者は欠陥を無償で直してもらえる仕組みだと説明しています。倒産などのときに発注者が請求できる条件は、後の「不具合が出たとき・事業者が倒産したときの請求」で整理します。

加入するのは工事をする事業者で、義務ではない

保険に入るのは、工事を頼む発注者ではなく、工事を請け負う事業者です。事業者はあらかじめ保険法人に事業者登録をしたうえで、工事ごとに保険を申し込みます。

同じ協会のQ&Aは、リフォーム工事での保険加入は義務づけられておらず、事業者が任意で加入するものだとしています。そのうえで、国土交通省の登録リフォーム事業者団体では、構成員が一定の金額以上の工事をする場合は原則として加入することとされている、とも書いています。

法律上の位置づけ

保険の根拠は、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)です。第19条は保険法人の業務を定めており、第1号は新築住宅の住宅瑕疵担保責任保険契約の引受けです。第2号は、民法上の担保の責任を履行することで工事の請負人などに生じた損害や、瑕疵によって注文者などに生じた損害を塡補する保険契約(第1号の保険契約を除く)の引受けで、リフォーム瑕疵保険はこちらにあたります。

住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「評価住宅・保険付き住宅とは」は、第1号の保険が付いた住宅を「1号保険付き住宅」、それ以外の瑕疵保険が付いた住宅を「2号保険付き住宅」と呼び、リフォーム瑕疵保険を2号保険の類型の一つに挙げています。マンションの大規模修繕工事には、大規模修繕工事瑕疵保険という別の保険があります。

保険を引き受けるのは、国土交通大臣が指定した保険法人です。どの法人が指定されているかは、国土交通省の「住宅瑕疵担保責任保険法人の一覧」で確かめられます。

保険がなくても事業者の責任は残る

民法は、売買の規定を請負などの有償契約にも準用し(第559条)、引き渡されたものが契約の内容に適合しないときは、修補などによる履行の追完を請求できると定めています(第562条第1項)。請負では、注文者が請負人に対してこの請求をすることになります。保険が付いているかどうかにかかわらず、工事をした事業者はこの責任を負います。

リフォーム瑕疵保険は、事業者がこの責任を果たすときにかかる費用を支える仕組みです。保険が付いたからといって、事業者の責任が保険に置き換わるわけではありません。

新築の瑕疵保険との違い

新築住宅の瑕疵保険は法律で義務づけられた保険で、住宅瑕疵担保履行法第2条第6項は、その保険契約が引渡しから10年以上の期間にわたって有効であることを求めています。新築の家で雨漏りしたときの扱いは、別の記事新築の雨漏りは誰が直す?10年保証と瑕疵保険の手順で整理しています。

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現場監督として工事を見てきた立場から言うと、屋根の板金の重ねや窓まわりの防水の処理は、次の工程の材料がかぶさった時点で見えなくなります。仕上がった後で外から眺めても、その下の処理がどうだったかは分かりません。工事の途中で第三者が現場を見る仕組みに意味があると私が考えるのは、そのためです。

保険を付けてもらうなら、検査が工事のどの段階で入るのかを、契約の前に聞いておいてください。工程表に検査の日が書き込まれていれば、手続きが段取りに組み込まれていることを確かめられます。


保険期間は何年で、どの部分が対象になるのか

リフォーム瑕疵保険の保険期間とは、工事した部分のうち構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分は5年間、それ以外の部分は1年間で、工事が完了した引渡日から数える期間です。保険内容によって異なる場合があり、補修費用のほか調査費用や転居・仮住まいの費用なども支払いの対象に含まれます。

5年の部分と1年の部分

住宅瑕疵担保責任保険協会の「リフォームのかし保険」と、同協会の案内「安心してリフォームするなら『リフォームかし保険』!」をもとに、保険期間と保険金が支払われる場合を整理します。

工事した部分の区分保険期間保険金が支払われる場合
構造耐力上主要な部分5年間基本耐力性能を満たさない場合
(建築基準法レベルの構造耐力性能を満たさない場合)
雨水の浸入を防止する部分5年間防水性能を満たさない場合
(雨漏りが発生した場合)
上記以外の工事実施部分1年間社会通念上必要とされる性能を満たさない場合
(配管工事後の水漏れなど)

保険期間や支払いの対象は、保険内容によって異なる場合があります。実際の内容は、事業者から受け取る保険の書面で確かめます。

同じ水のトラブルでも、工事した雨水の浸入を防止する部分の欠陥で雨漏りしたのか、それ以外の部分の工事の後で水漏れしたのかで、区分も期間も変わります。1年の区分の例として挙げられているのは、配管工事の後の水漏れなどです。ただし、雨水の排水管のうち屋根や外壁の内部または屋内にある部分は、次に挙げるとおり雨水の浸入を防止する部分に含まれます。

雨水の浸入を防止する部分とはどこか

協会の案内は、雨水の浸入を防止する部分を次のように定めています。

  • 屋根と外壁
  • 屋根や外壁の開口部に設ける戸、枠その他の建具
  • 雨水を排水するための排水管のうち、屋根や外壁の内部または屋内にある部分

特約によって対象の部分を広げられる場合もあります。この一覧にない部位が含まれるかどうかは、工事の内容と保険の書面で事業者に確かめます。

構造耐力上主要な部分の例

構造耐力上主要な部分の例として、基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材などが挙げられています。

対象は「工事した部分」に起因する欠陥

協会のページは、保険の対象をリフォーム工事を実施した全ての部分としています。Q&Aでも、請負契約に基づいて施工されたリフォーム工事の実施部分に起因する瑕疵が対象だと説明しています。

言い換えると、同じ屋根でも、今回の工事で手を入れていない部分から起きた不具合は対象になりません。屋根の一部だけを直した場合、5年の対象になるのは、その工事をした部分に起因する欠陥で防水性能を満たさない場合です。特約で対象の部分を広げられる場合はあります。

保険期間は引渡日から始まる

Q&Aによると、保険期間は工事が完了した引渡日(工事完了確認日)から始まります。保険証券は、引渡日が決まった段階で事業者が発行を申請するもので、検査に適合していても自動的に発行されるわけではありません。

引渡しを受けたのに保険の書面が届かないときは、発行の申請が済んでいるかを事業者に尋ねます。

支払われる費用と補修の範囲

保険金の対象になる費用は、修補費用、調査費用、転居・仮住まい費用などです。補修の範囲は、欠陥があった部分と、そこから波及して損害を受けた住宅の部分などとされています。

協会の案内は、対象になる例として、建具の著しい変形や開閉不良、塗装の著しい白亜化・剥がれ・亀裂、配管の破損や水漏れを挙げています。


リフォーム瑕疵保険の対象にならない工事と損害

リフォーム瑕疵保険の対象外とは、解体・撤去・清掃・門や塀などの外構の工事と、地震や台風などの自然災害、シロアリ被害、建物の劣化による損害、保険期間が始まった後に行った改修・修補工事の部分などです。保険金には免責金額と縮小てん補率があり、補修費用の全額が出るとは限りません。

対象になる工事・ならない工事

協会の案内によると、対象になるのは、屋根や壁などの既存住宅の一部、またはキッチンや浴槽などの既存住宅と一体になった設備の改修工事・設置工事です。一方で、同じ案内には「解体工事、撤去・清掃作業、門や塀等の外構工事等は対象になりません。」とあります。

見積書に解体や撤去、外構の項目が並んでいても、その部分は保険の対象に入りません。どの項目が保険の対象になる工事なのかは、見積もりの段階で分けて確かめておくと、後で話が食い違いにくくなります。

自然災害・シロアリ被害・劣化は対象外

Q&Aは、地震や台風、土砂崩れなどの自然災害、シロアリ被害、建物の劣化などは支払いの対象にならないとしています。リフォーム瑕疵保険が支えるのは、工事の欠陥を直す費用です。

工事をした部分から雨漏りしても、台風で飛んできた物による破損が原因であれば、自然災害による損害として支払いの対象になりません。工事から年数がたって材料が劣化した場合も、同じく対象外です。

保険期間の開始後に行った工事

保険期間が始まった後に行われた改修工事や修補工事の部分と、それに起因する損害も対象外です。引渡しの後で新たに手を入れた部分は、別の業者に頼んだ場合に限らず、元のリフォーム瑕疵保険の対象から外れます。

免責金額と縮小てん補率がある

Q&Aは、リフォーム瑕疵保険に免責金額と縮小てん補率が「あります」と答えています。具体的な金額や割合は、保険法人に確かめるよう案内されています。

主な内容は保険法人の間で共通していますが、異なる部分もあり、料金も保険法人ごとに定められています。免責金額や支払いの限度額は、契約の前に事業者を通じて保険の内容を確かめます。

村上 健司 村上 健司

雨漏りの相談を受けると、原因が今回の工事にあるのか、もともとある部分なのか、年数がたって傷んだのかで、誰に何を求められるかが変わります。リフォーム瑕疵保険も、対象は工事をした部分に起因する欠陥で、劣化は対象外です。

だからこそ、見積書と契約書には、どの部位のどこまでを工事するのかを具体的に書いてもらってください。「屋根工事一式」のような書き方だけでは、何年か後に、どこまでが工事した範囲だったのかを確かめにくくなります。


リフォーム瑕疵保険は頼んだほうがいいのか、どう頼むのか

リフォーム瑕疵保険の加入とは、発注者が保険法人に登録した事業者に依頼し、事業者が着工前に申し込んで所定の現場検査に適合することで成り立つ手続きで、工事の完了後に加入することはできません。加入は義務ではないため、頼むかどうかは契約前に判断し、契約時と引渡し後に書面で確かめます。

加入は義務ではない。頼むかどうかの判断材料

リフォーム瑕疵保険に入るかどうかは、事業者の任意です。発注者から見ると、加入を頼むかどうかを契約の前に決めることになります。ここでは判断に使える事実を、保険が付くことで得られることと、その前提になることに分けて並べます。

保険が付くことで得られること

  • 工事中と完了後に、保険法人の検査員が第三者として現場を確かめる
  • 保険の対象になる欠陥が見つかったとき、発注者は無償で補修を受けられる
  • 事業者が倒産などで補修できないとき、保険の対象になる不具合であれば、発注者が保険法人に直接請求できる(免責金額は発注者の負担)
  • 工事の請負契約などをめぐって争いになったとき、住宅紛争審査会の紛争処理を利用できる

前提になること

  • 保険料と検査料がかかる。支払うのは加入する事業者で、その費用を誰が負担するかは当事者の間で決める
  • 着工前の申込みと、工事中の検査の日程が必要になる
  • 対象にならない工事と損害があり、免責金額と縮小てん補率もある

どちらに重きを置くかは、工事の内容や規模によって変わります。工事に、5年の対象になる構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分が含まれるかどうかも、判断の材料になります。

発注者は直接申し込めない

Q&Aは、保険の申込みはリフォーム工事業者が行うもので、発注者が直接申し込むことはできないと答えています。発注者にできるのは、保険法人に登録した事業者に工事を頼み、その事業者に保険への加入を依頼することです。

加入できる事業者の探し方

リフォーム瑕疵保険を使える事業者は、住宅瑕疵担保責任保険協会の登録事業者等検索サイト(リフォーム)で探せます。国土交通省も、加入する事業者を探す先としてこのサイトを案内しています。保険法人は、登録事業者の保険の利用件数なども公開しています。

すでに依頼先が決まっている場合は、その事業者が登録しているかをこのサイトで確かめてから、加入を頼むことができます。

着工前の申込みと検査への適合が条件

Q&Aは、リフォーム工事の着工前に申し込み、検査に適合している必要があるとしたうえで、「リフォーム工事の完了後にリフォームかし保険に加入することはできません。」と答えています。協会のページに示された事業者側の手続きは、次の流れです。

  1. 事業者が保険法人に事業者登録をする
  2. 工事ごとに保険を申し込む
  3. 工事に着工する
  4. 保険法人が所定の回数の現場検査を行い、そのすべてに適合する
  5. 工事の完了時に、事業者が保険証券の発行を申請する
  6. 保険証券を受け取る

工事が終わってから「保険を付けてほしい」と頼んでも、着工前の申込みと工事中の検査はやり直せません。条件は着工前の申込みですが、協会の案内は、工事契約を結ぶ前に加入を頼むよう示しています。

契約前から引渡し後までに発注者が確かめること

協会の案内は、発注者がする手順を工事の段階ごとに示しています。

段階発注者がすること
工事契約を結ぶ前事業者に保険への加入を頼む。
保険の内容(支払いの対象や限度額)を確かめる
工事契約を結ぶとき保険証を確かめる
工事が終わった後保険の内容を記載した書面を受け取る

保険の話と合わせて、見積書そのものの中身も契約の前に確かめておきます。見積書で見ておきたい項目は、見積もり段階で確認すべき10のポイントにまとめています。

図面のない中古住宅でも申し込める

Q&Aによると、図面がない中古住宅でも、工事の箇所と内容を明確にできる資料(工事前後の状況やリフォームの内容が分かる資料)があれば申し込めます。検査の技術的な基準は、保険法人が公開している「リフォーム工事瑕疵保険設計施工基準」です。


不具合が出たとき・事業者が倒産したときの請求

リフォーム瑕疵保険の請求とは、不具合に気づいた発注者がまず施工した事業者に知らせ、事業者が保険法人に事故発生を報告して補修と保険金の手続きを進める流れで、事業者が倒産などで相当の期間を経ても補修できないときは発注者が保険法人に直接請求します。先に別の業者で直すと、保険金が支払われない場合があります。

発注者の側から見た手順は、次のとおりです。

  1. 施工した事業者に不具合を知らせ、状態を写真で残す
  2. 事業者が保険法人に事故発生を報告する
  3. 事業者が補修する
  4. 事業者が倒産や廃業で相当の期間を経ても補修できないときは、保険付保証明書に記載された保険法人に連絡する

まず施工した事業者に連絡し、先に直さない

Q&Aによると、不具合の報告を受けた事業者が保険法人に事故発生を報告し、そこから手続きが進みます。同じQ&Aには「勝手に修補すると、保険金が支払われない場合があります。」とあります。

雨漏りのように急いで止めたい不具合でも、本格的な補修に入る前に施工した事業者へ連絡し、どこがどう濡れているかを写真に残しておきます。

保険とは別に、民法の「1年以内の通知」を知っておく

保険の手続きとは別に、請負契約の一般的なルールとして、民法には通知の期限があります。第637条第1項は、種類や品質が契約の内容に適合しない目的物を引き渡された注文者が、その不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、修補などの請求ができなくなると定めています。これは保険金の請求期限ではありません。

ただし、引渡しの時に請負人がその不適合を知っていたとき、または重大な過失で知らなかったときは、この期限は適用されません(同条第2項)。また、注文者が提供した材料の性質や注文者の指図によって生じた不適合は、原則として請求できません(第636条。請負人がその材料や指図が不適当だと知りながら告げなかったときを除く)。

条文が求めているのは通知で、書面に限るとは書かれていません。それでも、いつ何を伝えたかを後で確かめられるよう、メールや書面など記録が残る形で知らせておくと安心です。

事業者が倒産・廃業したとき

協会の案内によると、事業者が廃業や倒産などで相当の期間を経ても補修できないと分かったときは、保険付保証明書に記載された保険法人に連絡します。Q&Aは、事業者が倒産していても、保険の対象になる不具合であれば、発注者が保険法人に直接通知して保険金を請求できるとしています。

協会のページには「登録事業者の倒産等の場合には、発注者に対して支払う金額は100%となります。」とあります。一方で、協会の案内は、この場合も保険の免責金額は発注者の負担になるとしています。100%と書かれていても、免責金額の分は発注者が負担することになります。

請求にたどり着くための書類

事業者に連絡がつかなくなった後で請求先を探すには、書類が頼りになります。次のものを一か所にまとめて保管しておきます。

  • 保険証券または保険付保証明書(どの保険法人の保険かが書かれている)
  • 工事の請負契約書と見積書
  • 工事の内容が分かる資料
  • 工事前と工事中、工事後の写真

保険が付いているかどうか分からないときは、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「評価住宅・保険付き住宅とは」のページで案内されている、保険付き住宅の該当性確認サービスを使えます。


事業者と話がこじれたときの相談先と紛争処理

リフォーム瑕疵保険が付いた工事の紛争処理とは、その工事の請負契約などをめぐる争いを、弁護士と建築士が関与する住宅紛争審査会のあっせん・調停・仲裁で解決を図る裁判外の手続きで、費用は申請料1万円(一部の保険付き住宅は1万4千円)のみです。電話相談と専門家相談は、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの住まいるダイヤルが窓口です。

住まいるダイヤルに相談する

住宅瑕疵担保責任保険協会も、困ったときの相談先として住宅リフォーム・紛争処理支援センターの住まいるダイヤルを案内しています。電話番号は03-3556-5147で、受付時間はセンターの公式ページで確かめられます。

センターの2022年10月のお知らせによると、2022年10月1日から、住宅瑕疵担保履行法の改正によって専門家相談と紛争処理の対象が広がりました。新築住宅だけでなく、リフォーム瑕疵保険などの2号保険が付いた住宅も対象に加わっています。それ以前、2号保険付き住宅で使えたのは電話相談だけでした。

住宅紛争審査会のあっせん・調停・仲裁

センターの特設ページ「専門家相談と紛争処理の対象が拡大」によると、紛争処理は、弁護士と建築士が関与して住宅のトラブルを解決に導く裁判外の手続きです。各都道府県の弁護士会に置かれた住宅紛争審査会の専門家が間に入り、手続きはあっせん、調停、仲裁の3種類があります。

  • 申請料:1万円(一部の保険付き住宅は1万4千円)。費用は申請料のみ
  • 申請できる人:保険付き住宅の取得者または供給者
  • 2022年9月30日以前に加入した保険でも利用できる

法律上の根拠は住宅瑕疵担保履行法第33条第1項で、指定住宅紛争処理機関は、第19条第2号の保険契約に係る住宅の建設工事の請負契約などに関する紛争について、当事者の双方または一方の申請により、あっせん、調停、仲裁の業務を行うことができると定めています。保険が付いていない工事の争いは、この条文による紛争処理の対象にはなりません。保険が付いているかどうか分からないときは、前の章で触れた保険付き住宅の該当性確認サービスで確かめられます。

訪問販売で急かされて契約した場合

保険の有無とは別に、突然訪ねてきた業者にその場で契約を迫られた場合は、契約を解除できるかどうかという別の問題になります。解除の条件や日数の数え方はリフォームのクーリング・オフは工事後も使える?8日の数え方と条件で整理しています。


元現場監督が見る、リフォーム瑕疵保険を着工前に確かめたい理由

リフォーム瑕疵保険を着工前に確かめたい理由とは、加入の手続きが着工前の申込みと工事中の検査を前提にしているうえ、屋根や外壁の継ぎ目の処理は仕上がると見えなくなり、後から工事した部分の欠陥かどうかを切り分けにくいからです。保険の有無と事業者自身の保証は、別々に書面で確かめます。

ここからは制度の説明ではなく、建てる側と直す側の両方を経験してきた立場からの見方です。

雨仕舞いは工事が終わると見えなくなる

建てる側から見ると、屋根や外壁の工事で雨水を止めているのは、表に見える仕上げ材よりも、その下にある板金の重ねや防水紙の立ち上がり、継ぎ目の処理です。これらは仕上げ材を張った時点で隠れ、完成した姿からは確かめられません。

リフォーム瑕疵保険では、工事中に保険法人の検査員が現場を確かめます。仕上がった後では同じ状態を見ることが難しいため、工事中の検査を入れるかどうかは、工事が始まる前にしか選べません。

「工事した部分」か「元からある部分」かの切り分け

直す側から見ると、屋根や外壁を部分的に直した後で雨漏りしたとき、まず問われるのは、水の入り口が今回の工事をした部分なのか、手を入れていない元からある部分なのかです。リフォーム瑕疵保険の対象は工事した部分に起因する欠陥で、自然災害や劣化は対象外なので、この切り分けが、保険の対象になるかどうかを考える出発点になります。

切り分けの材料になるのは、工事前の状態と工事中の様子を撮った写真、そして工事の範囲を書いた契約書です。水の入り口が一か所とは限らないことは、ベランダを例にベランダの雨漏りの原因は?笠木・排水口・防水層から水が入る仕組みでも取り上げています。

加入を頼んだときの事業者の答え方

建てる側の段取りから見ると、保険への加入を頼んだときに確かめたいのは、その事業者が保険法人に登録しているか、検査の日程を工程に組み込めるか、の2点です。申込みは着工前で、工事中に検査が入るため、契約の直前になって頼むと、工期に影響が出ることがあります。

加入を頼むなら、見積もりを依頼する段階で伝えておくと、事業者も検査を含めた工程を組みやすくなります。

保険の期間と事業者の保証は別物

5年や1年は、保険が事業者の補修を支える期間です。事業者が自分で出す保証の範囲や期間を決めるものではありません。民法上の責任も、保険とは別に事業者にあります。

契約書や保証書に書かれた事業者の保証の範囲と期間、保険の書面に書かれた対象と期間は、それぞれ別に読んで確かめます。読み終えた書類は、写真と一緒に一か所にまとめておきます。

村上 健司 村上 健司

雨漏りの修理で伺うと、前に工事をした会社とは別の業者に急いで直してもらった後で、どこから水が入っていたのか分からなくなっている家に出会うことがあります。手を入れた跡が重なると、元の原因を後から追うのが難しくなります。

リフォームした部分から水が出たら、まず施工した会社に連絡し、濡れている場所と外から見える状態を写真に残してください。保険の手続きは事業者から保険法人への報告で始まるので、先に別の業者で直すと、保険金が支払われない場合があります。


よくある質問

リフォーム瑕疵保険とは何ですか?

リフォーム瑕疵保険とは、リフォーム工事をする事業者が着工前に申し込み、保険法人の現場検査に合格した工事について、工事した部分の欠陥を直す費用を保険金でまかなう任意の保険です。保険金は原則として事業者に支払われ、発注者は欠陥を無償で直してもらえます。

リフォーム瑕疵保険の保険期間は何年ですか?

保険期間は、工事した部分のうち構造耐力上主要な部分と、屋根・外壁など雨水の浸入を防止する部分が5年間、その他の部分が1年間で、工事が完了した引渡日から始まります。工事した雨水の浸入を防止する部分の欠陥で雨漏りした場合は5年間の対象ですが、保険内容によって異なる場合があります。

リフォーム工事が終わった後からでも加入できますか?

加入できません。リフォーム瑕疵保険は、工事の着工前に事業者が申し込み、保険法人の現場検査に適合している必要があるため、工事の完了後に入ることはできません。

施主が自分でリフォーム瑕疵保険に申し込めますか?

申し込めません。申込みは保険法人に事業者登録したリフォーム事業者が行うもので、発注者は工事の契約前にその事業者へ加入を依頼します。加入できる事業者は、住宅瑕疵担保責任保険協会の登録事業者等検索サイトで探せます。

リフォーム瑕疵保険への加入は義務ですか?

義務ではありません。リフォーム瑕疵保険は事業者が任意で加入する保険で、加入を頼むかどうかは、保険料や検査料の負担、着工前の手続き、対象になる部分を踏まえて契約前に決めます。

リフォーム業者が倒産したら保険金はどうなりますか?

事業者が倒産や廃業で相当の期間を経ても補修できないときは、保険の対象になる不具合であれば、発注者が保険付保証明書に記載された保険法人に連絡して保険金を直接請求できます。ただし、保険の免責金額は発注者の負担になります。

リフォームした部分から雨漏りしたら、最初に何をすればよいですか?

まず工事をした事業者に連絡し、雨漏りの状態を写真で残します。事業者が保険法人に事故発生を報告して手続きが進むため、先に別の業者で直すと保険金が支払われない場合があります。民法には、契約に適合しない不具合を知った時から1年以内に請負人へ通知しないと修補などを請求できなくなる定め(引渡しの時に請負人が不具合を知っていた場合などを除く)もあるため、早めに知らせておきます。


まとめ

リフォーム瑕疵保険とは、工事をする事業者が着工前に申し込み、現場検査に合格した工事の欠陥を、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分は5年間、その他の部分は1年間支える任意の保険です。

発注者がすることは、加入を頼むかどうかを契約の前に決め、保険法人に登録した事業者に依頼し、支払いの対象や限度額などの保険の内容を確かめ、契約時と引渡し後に書面を受け取ることです。工事の完了後には加入できないため、頼むなら見積もりの段階で伝えます。

不具合が出たら先に直さず、施工した事業者に知らせて状態を写真に残します。事業者が倒産などで相当の期間を経ても補修できないときは、保険の対象になる不具合であれば保険付保証明書に記載された保険法人へ直接請求できますが、免責金額は発注者の負担です。話がこじれたときは住まいるダイヤルに相談できます。

本記事で取り上げた制度、相談窓口、紛争処理の申請料などの内容は、に確認したものです。保険の対象や期間、免責金額などは保険法人や保険の内容によって異なる場合があるため、個別の内容は事業者から受け取る保険の書面で確かめてください。

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