新築住宅の雨漏りを直すのは、原因が施工の不具合なら家を建てた会社(売主・請負人)で、その会社は引き渡しから10年間、無償で直す責任を負います。会社が倒産などで直せないときは、住宅瑕疵担保責任保険の保険法人に、住宅を取得した人が直接請求できます。
「天井にシミが出てきたけど、新築なのにどこへ言えばいいのかわからない」
引き渡しから数年の家で雨漏りに気づいた方からは、こうした声をうかがいます。建てた会社に連絡してよいのか、保険を使うのか、自分で修理業者を探すのか。最初の一歩で迷うのは自然なことです。
この記事では、新築の雨漏りを誰が直すのかという法律の仕組みと、気づいてから記録・連絡・請求までの手順、建てた会社が対応できないときの保険法人への請求、相談窓口を整理します。内容は2026年10月10日時点の法令と、国や公的機関が公表している資料に基づいています。
新築の雨漏りは10年間、建てた会社が直す
新築の雨漏りを直す責任を負うのは、注文住宅なら工事を請け負った会社、建売住宅なら家を売った会社で、その期間は引き渡しから10年間です。住宅品質確保法が雨水の浸入を防ぐ部分の瑕疵についてこの責任を定めており、持ち主に不利な特約は無効になります。
住宅品質確保法は、第94条で新築住宅を請け負った会社の責任を、第95条で新築住宅を売った会社の責任を定めています。どちらも引き渡しから10年間、建物の構造耐力上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分に瑕疵があれば、その責任を負うという内容です(住宅の品質確保の促進等に関する法律(e-Gov法令検索))。
| 家の手に入れ方 | 直す責任を負う相手 | 根拠の条文 | 責任の期間 |
|---|---|---|---|
| 注文住宅を建てた | 工事を請け負った会社 (請負人) | 品確法 第94条 | 引き渡しから10年間 |
| 建売住宅などを買った | 家を売った会社 (売主) | 品確法 第95条 | 引き渡しから10年間 |
| 契約で期間を延ばした | 同じ相手 | 品確法 第97条 | 特約により 20年以内まで |
出典:住宅の品質確保の促進等に関する法律(2026年10月10日時点)。
この10年は、契約書に短い期間が書かれていても縮みません。品確法が、注文者や買主に不利な特約を無効としているためです。反対に第97条により、特約を結べば責任の期間を20年以内まで延ばせます。
屋根や外壁を実際に施工したのが協力会社の職人でも、責任を負うのは契約の相手である会社です。雨漏りに気づいたときの最初の連絡先は、契約書に名前がある売主または請負人になります。
雨漏りに気づいたら最初にすること
新築で雨漏りに気づいたら最初にすることは、場所と日時を写真で記録すること、建てた会社に書面で知らせること、会社の調査に立ち会うことの3つです。知らせるのが遅れると請求できなくなる場合があるため、気づいたその日に動き始めることが大切です。
天井から水が落ちていると、まず拭いて片付けたくなります。その前に数分だけ、今の状態を残してください。次の順で進めると、後の請求や相談で困りません。
- 状態を記録する:シミや水の落ちる場所を写真と動画で撮り、日時、雨の強さ、風の向きをメモに残す
- 被害を広げない:家具や家電を移し、落ちる水を受け皿で受ける。屋根や天井裏には自分で上がらない
- 建てた会社に書面で知らせる:電話のあと、メールか書面で、気づいた日・場所・状況を送り、送った記録を残す
- 調査に立ち会う:原因の説明と、直す方法・時期を聞き、調査の写真と報告を書面でもらう
- 進まないときは相談窓口へ:対応が始まらない、説明に納得できないときは、住まいるダイヤルや住宅紛争審査会に相談する
書面で知らせるのには理由があります。請負契約について定めた民法第637条は、注文者が不適合を知った時から1年以内に請負人へ通知しないと、請求できなくなるとしています。請負人がその不適合を知っていたか、重大な過失で知らなかった場合は除かれます。
品確法は、この民法の仕組みを「瑕疵」に読み替えたうえで、引き渡しから10年の責任を変えられない決まりにしています。つまり10年の中にいても、気づいてから知らせるまでの期間には別の決まりがかかります。いつ知らせたかを後から示せるよう、日付の残る方法で連絡してください。
雨漏りの調査で何より助かるのは、持ち主の方が撮っておいた写真です。どんな雨の日に、どこから、どれくらい落ちたのか。それがわかるだけで、水をかけて確かめる場所をぐっと絞り込めます。
雨は止むと、シミの跡しか残りません。「次に降ったら撮ろう」ではなく、気づいたその日に撮っておいてください。風の向きまでメモがあれば、直す側としては本当にありがたいんです。
建てた会社が倒産などで直せないときは保険法人に請求する
建てた会社が倒産などで雨漏りを直せないときの請求先は、その住宅の住宅瑕疵担保責任保険を引き受けた保険法人で、住宅を取得した人が直接請求できます。新築住宅を引き渡す事業者には、保険への加入か保証金の供託が法律で義務付けられています。
住宅瑕疵担保履行法は、2009年10月1日から、新築住宅を引き渡す建設業者と宅地建物取引業者に、保険に入るか保証金を供託するかのどちらかで資力を確保するよう義務付けています。保険は、保険金額2,000万円以上、保険期間10年以上と決められています(国土交通省 住宅瑕疵担保履行法のページ)。
保険に加入している住宅では、事業者が倒産などで補修できないとき、住宅取得者が保険法人に直接請求できます。対象は直す工事の費用だけではなく、原因を調べる調査費、工事のあいだの仮住居費や引越費用も含まれます(国土交通省 新築住宅の保険についての解説)。
| 国土交通大臣が指定した保険法人 |
|---|
| 株式会社住宅あんしん保証 |
| 住宅保証機構株式会社 |
| 株式会社日本住宅保証検査機構 |
| 株式会社ハウスジーメン |
| ハウスプラス住宅保証株式会社 |
出典:国土交通省 住宅瑕疵担保責任保険法人の一覧(2026年10月10日時点)。このほか、再保険を引き受ける一般財団法人住宅保証支援機構があります。
引き渡しの書類で、保険か供託かと保険法人を確かめる
保険に入っているのか供託なのか、保険ならどの保険法人なのかは、家ごとに違います。引き渡しのときに受け取った書類の中から、保険への加入を示す書類か、供託について説明した書面を探してください。
見つかったら、保険法人の名前と連絡先を、雨漏りの記録と同じ場所に控えておきます。書類が見つからないときは、まず建てた会社に問い合わせます。会社と連絡が取れないときは、住まいるダイヤルに相談できます。
施工の不具合か、結露・経年劣化・台風かで扱いが変わる
新築の雨漏りが10年の責任の対象になるかは、原因が施工の不具合かどうかで決まり、結露・経年劣化・台風などの災害による水の被害は扱いが変わります。対象になる部位は施行令で決まっていて、屋根・外壁・窓などの建具と、雨水を流す排水管の一部です。
住宅品質確保法の施行令第5条第2項は、雨水の浸入を防ぐ部分として次の4つを挙げています。天井のシミの上にどの部位があるかを、この表と見比べてください。
| 部位 | 施行令の定め | 家の中で当たる部分の例 |
|---|---|---|
| 屋根 | 住宅の屋根 | 屋根材、下葺き材、 棟や谷の板金 |
| 外壁 | 住宅の外壁 | 外壁材、防水紙、 外壁の継ぎ目 |
| 開口部の建具 | 屋根・外壁の開口部に設ける 戸、わくその他の建具 | 窓のサッシ、玄関ドア、 天窓 |
| 雨水の排水管 | 雨水を排除するための排水管のうち 屋根・外壁の内部か屋内にある部分 | 壁の中や屋内を通る 雨水の管 |
出典:住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令 第5条第2項。例の欄は編集部が補ったものです。
同じ「水が出た」でも、原因によって相談する相手と直し方が変わります。会社の調査で原因がはっきりするまでは、自分で決めつけずに、見たことをそのまま伝えるのが近道です。
| 水が出た原因 | 扱い | 持ち主がすること |
|---|---|---|
| 施工の不具合 | 建てた会社の 10年の責任 | 記録して 書面で知らせる |
| 結露 | 雨水の浸入とは 別の現象 | 雨の日と関係なく 濡れるかを伝える |
| 経年劣化 | 10年の責任とは 別の話になる | 点検と修繕で 備える |
| 台風などの災害 | 火災保険の 補償内容による | 被害直後の写真を 残して保険会社へ |
台風や強風で屋根が壊れて起きた雨漏りは、施工の不具合とは分けて、加入している火災保険の補償の範囲で考えます。火災保険と10年の責任の役割の違いは、新築で雨漏りしにくい屋根の条件の記事でも触れています。
「新築なのに雨漏りした」という相談で天井裏を開けると、水の出どころが結露だったということもあります。冬の朝に北側の部屋の天井が濡れる、雨の日と関係なくシミが広がる、というときは結露も疑ってみます。
結露か雨漏りかで、話をする相手も直し方も変わります。会社の調査では「雨の日だけ濡れるのか」を最初に伝えてください。その一言で、調べる順番が決まります。
新築の雨漏りの相談窓口
新築の雨漏りの相談窓口は、建てた会社のほか、建築士が電話で相談に応じる住まいるダイヤルと、評価住宅・保険付き住宅の紛争を扱う住宅紛争審査会です。会社とのやり取りが進まないときは、住まいるダイヤルに相談してから紛争処理の手続きを検討します。
| 窓口 | 対象 | 受けられること | 連絡先・費用 |
|---|---|---|---|
| 建てた会社 (売主・請負人) | その会社が建てた・ 売った新築住宅 | 原因の調査と補修 | 契約書に書かれた窓口 |
| 住まいるダイヤル | 住宅の相談 (新築住宅の雨漏りを含む) | 建築士による電話相談 | 03-3556-5147 平日10:00〜17:00 |
| 千葉県弁護士会 住宅紛争審査会 | 評価住宅・ 保険付き住宅 | あっせん・調停・仲裁 | 千葉市中央区中央4-13-9 申請手数料1万円 |
| 保険法人 | 保険に加入している 新築住宅 | 事業者が補修できない ときの直接請求 | 引き渡しの書類に記載 |
出典:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの電話相談の案内と紛争処理の手続きの案内(2026年10月10日時点)。
住まいるダイヤルは、建築士に電話で相談できる窓口
住まいるダイヤルは、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する電話相談です。建築士が相談に応じ、相談の例に新築住宅の雨漏りが挙げられています。
会社の説明が専門的でわからないとき、直し方が妥当か不安なとき、保険法人の確かめ方を知りたいときに使えます。電話の前に、雨漏りの写真と日時の記録、契約書、引き渡しの書類を手元に置いておくと、話が早く進みます。
住宅紛争審査会は、評価住宅と保険付き住宅の紛争を扱う
住宅紛争審査会は弁護士会に置かれた機関で、住宅性能評価書の交付を受けた評価住宅と、住宅瑕疵担保責任保険に加入した保険付き住宅について、会社との紛争をあっせん・調停・仲裁で解決する手続きを扱います。申請手数料は1万円です。
千葉県では、千葉市中央区中央4-13-9に千葉県弁護士会住宅紛争審査会があります。話し合いで解決しないときに、裁判より身近な手続きとして検討できます。
10年を過ぎた雨漏りは修理業者を選ぶ
引き渡しから10年を過ぎた雨漏りは、法律が定める10年の責任の期間を過ぎているため、延長保証の対象でなければ、持ち主が修理業者を選んで直すものです。延長保証を受けられるかは、定期点検や有償のメンテナンスを受けることなど、会社ごとの条件で決まります。
まず、契約書と保証書を開いて、延長保証があるかと、その条件を確かめます。点検を受けていることや、会社の指定するメンテナンス工事を行うことが条件になっている場合は、条件を満たしているかを会社に問い合わせます。特約で責任の期間を20年以内に延ばしている契約もあるため、期間の欄も見ておきます。
10年目が近づいている家では、期間が終わる前に点検を受け、気になる点を書面で会社に伝えておくことが大切です。10年のあいだに知らせた不具合かどうかで、相談の進め方が変わるためです。
修理業者を選ぶときに確かめること
- 水が入った場所を、どんな方法で調べるかを説明してくれるか
- どこをどう直すかを、写真や図で示してくれるか
- 見積書に、工事の範囲と使う材料の名前が書かれているか
- 直したあとの保証の範囲と期間が、書面で示されるか
千葉県で修理業者を探すときは、千葉県の雨漏り修理のおすすめ業者の比較で業者ごとの特徴を、千葉県・千葉市の雨漏り修理費用の相場で工事ごとの目安を確かめられます。
建てる前にできる雨漏りの備え
建てる前にできる雨漏りの備えは、施工中の写真を残してもらう約束、保険法人がわかる書類の受け取り、引き渡し後の点検時期を書面でもらうことの3つです。どれも、雨漏りが起きたときに10年の責任を使って直してもらうための材料になります。
国土技術政策総合研究所の記者発表(平成29年8月8日)によると、住宅の瑕疵保険の事故の中で「防水事故」が占める割合は9割を超えます。新築の不具合への備えは、雨水の入りやすい部分の施工をどう確かめ、どう記録に残すかが中心になります。
- 施工中の写真:屋根の下葺き材、外壁の防水紙、窓まわりの防水テープ、バルコニーの防水を、工程ごとに撮って渡してもらう
- 保険法人がわかる書類:保険か供託か、保険ならどの保険法人かを、契約のときに聞いておき、引き渡しの書類で受け取る
- 点検時期の書面:屋根・外壁・バルコニーの点検の時期と内容、延長保証の条件を書面でもらう
住まいるダイヤルを運営するセンターの住まいの雨漏り対策を考えましょうは、瑕疵保険の事故データをもとに、窓、外壁、外壁と屋根の取合い、棟やけらば、天窓、バルコニーの部位ごとに雨漏りの事例を整理しています。そのうえで、設計者や事業者に雨漏り対策の考え方を質問することを勧めています。
質問の土台には、国土交通省のサイトにある住宅瑕疵担保責任保険 設計施工基準が使えます。第7条が屋根、第8条がバルコニーと陸屋根、第9条が外壁、第10条が乾式の外壁仕上げについて定めており、たとえばバルコニーの床には1/50以上の勾配を求めています。
屋根の形や軒の出など設計の段階で決めることは新築で雨漏りしにくい屋根の条件で、モデルハウスで確かめるところは新築住宅展示場で見るべき標準仕様と屋根で、依頼先を選ぶときの見方は市原市の新築ハウスメーカーの選び方で詳しく書いています。
よくある質問
新築の雨漏りについてよく寄せられる質問は、最初の連絡先、保証の期間、建てた会社が倒産したとき、火災保険との関係、10年を過ぎたあとの相談先の5つです。どの回答も、それだけで読めるようにまとめています。
新築の家で雨漏りしたら、まずどこに連絡すればよいですか?
新築の家で雨漏りしたときの最初の連絡先は、契約書に名前がある売主または工事を請け負った会社です。施工の不具合による雨漏りは、引き渡しから10年間、その会社が直す責任を負います。電話のあとにメールや書面でも知らせ、雨漏りの写真と日時の記録を残しておきます。
新築の雨漏りの保証は何年ですか?
新築の雨漏りの保証期間は、住宅品質確保法で引き渡しから10年間と定められています。屋根・外壁・窓などの建具といった雨水の浸入を防ぐ部分の瑕疵が対象で、10年より短くする特約は無効です。特約を結べば20年以内まで延ばせるため、契約書で期間を確かめておきます。
建てた会社が倒産したら雨漏りは直せませんか?
建てた会社が倒産しても、新築の雨漏りは住宅瑕疵担保責任保険を使って直せます。保険に加入している住宅なら、住宅を取得した人が保険法人に直接請求でき、直す工事の費用のほか調査費・仮住居費・引越費用も対象です。保険法人の名前は、引き渡しのときに受け取った書類で確かめます。
新築の雨漏りは火災保険で直せますか?
新築の雨漏りで火災保険を使える可能性があるのは、台風や強風などの災害で屋根や外壁が壊れた場合で、補償の範囲は契約の内容によります。施工の不具合による雨漏りは、引き渡しから10年間、建てた会社が直す責任を負うものです。どちらに当たるかは、建てた会社の調査で原因を確かめて判断します。
10年を過ぎた雨漏りは、どこに相談できますか?
引き渡しから10年を過ぎた雨漏りの相談先は、延長保証の有無を確かめるための建てた会社と、延長の対象でない場合の雨漏りの修理業者です。修理業者を選ぶときは、原因を調べる方法と、直す場所と内容を写真で説明してくれるかを確かめます。判断に迷うときは住まいるダイヤル(03-3556-5147)で建築士に相談できます。
まとめ
新築の雨漏りを直すのは、原因が施工の不具合なら家を建てた会社で、売主または請負人が引き渡しから10年間その責任を負います。会社が倒産などで直せないときは、住宅瑕疵担保責任保険の保険法人に、住宅を取得した人が直接請求できます。
雨漏りに気づいたら、写真と日時を記録し、建てた会社に書面で知らせ、調査に立ち会います。話が進まないときは住まいるダイヤル(03-3556-5147)で建築士に相談し、評価住宅や保険付き住宅なら住宅紛争審査会の手続きも使えます。
10年を過ぎた雨漏りは、延長保証の条件を確かめたうえで修理業者を選びます。これから建てる方は、施工中の写真、保険法人がわかる書類、点検時期の書面の3つを、引き渡しまでにそろえておくと安心です。
本記事の法令・制度・相談窓口の情報は、2026年10月10日時点の法令と、国・公的機関が公表している資料をもとにしています。制度や窓口の受付時間は変更されることがあります。手続きの前に、各機関の公式サイトと、お手元の契約書・引き渡しの書類をご確認ください。



雨漏りを直しに伺うお宅には、建ってまだ数年の家も含まれます。拙著『施工しない会社が、なぜ住宅業界を支配しているのか(Amazon)』の中で、雨漏りの原因の8割以上は施工不良にあると述べました。新築の雨漏りでは、その施工の結果が早い時期に表に出ることがあります。
直す側として歯がゆいのは、持ち主の方が「どこに言えばいいか」を知らないまま時間が過ぎてしまうことです。10年の責任は法律で決まっていても、使い方を知らなければ守ってもらえません。この記事は、その使い方を順番に並べたものです。