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冬のヒートショック対策|温泉で言われる入浴の注意点を自宅の浴室に活かす

白地に「冬のヒートショック対策」の見出しと、温度差を減らす・入り方を整える・家の側を直すの3枚のカードを並べた図
村上 健司(住まいの解決広場 編集長・建築士)
この記事を書いた人
村上 健司(建築士 / 元現場監督)

「住まいの解決広場」編集長。大手ハウスメーカー2社で現場監督および統括責任者を歴任し、累計15,000件以上の現場に関わる。詳細プロフィール

冬のヒートショック対策とは、暖かい部屋と寒い脱衣所・浴室の温度差を小さくし、熱い湯に長くつかるのを避け、入浴前の水分補給や家族の声掛けで異変に早く気づけるようにすることです。消費者庁は、入浴前に脱衣所や浴室を暖めること、湯温は41度以下・湯につかる時間は10分までを目安にすること、浴槽から急に立ち上がらないことなどを呼びかけています。温泉施設で掲示される入浴上の注意も、食事の直後や飲酒後を避ける、かけ湯をする、入浴の前後に水分をとる、ゆっくり浴槽を出るなど、自宅の入浴にそのまま置き換えられる項目が多くあります。

「冬になると、一人で風呂に入る親のことが気になります。温泉に行くと注意書きが貼ってありますが、家の風呂でも同じことに気をつければいいのでしょうか。脱衣所が寒いので、リフォームも考えています」

寒い季節の入浴は、体が温まるぶん気がゆるみやすい時間です。一方で、高齢の家族と暮らしていると、湯船の中で具合が悪くなったらと心配になるのも自然なことです。

ここでは、冬の入浴事故が起きやすい条件を公的機関の資料で確かめたうえで、温泉施設で掲示される入浴上の注意を自宅の入浴に置き換え、脱衣所・浴室の暖房や断熱、手すりや床材といったリフォームの選択肢と費用の考え方を整理します。根拠にしたのは、消費者庁、環境省、厚生労働省、国土交通省の資料です。体調や持病に応じた入浴方法の判断は、この記事では扱いません。かかりつけの医師に確かめてください。

村上 健司 村上 健司

家を建てる側にいたころ、間取りを決める打ち合わせでは、居間や寝室の暖房の話はよく出るのに、脱衣所と浴室の寒さが話題になることは多くありませんでした。浴室と脱衣所は家の北側や端に置かれることがあり、窓もあるので、冬は居間との温度の差が開きやすい場所です。

入浴の習慣を変えることと、寒さを生む家の側を直すことは、別々に考えてかまいません。まず今夜からできる習慣を整え、そのうえで家の側をどう直すかを順に検討すると、無理なく進められます。

この記事の要点
  • 厚生労働省の人口動態統計によると、令和6年に浴槽内での溺死・溺水などで亡くなった人は7,776人で、そのうち65歳以上が7,363人。消費者庁は、65歳以上の交通事故による死亡者数(2,103人)の3倍以上にあたるとしている。
  • 冬に事故が増える要因として、消費者庁は、暖かい部屋と寒い脱衣所・浴室の温度差による急激な血圧の変動と、熱い湯に長くつかって体温が上がることによる意識障害を挙げている。
  • 温泉施設で掲示される入浴上の注意のうち、食事の直後や飲酒後の入浴を避ける、かけ湯をする、入浴の前後に水分をとる、浴槽からゆっくり出る、高齢者は一人での入浴を避けるといった項目は、自宅の入浴に置き換えられる。
  • 家の側の対策は、脱衣所・浴室を暖める設備、窓などの断熱、手すり・段差の解消・滑りにくい床材の3つに分けて考えられる。国土交通省のガイドラインも、非居室との温度差を小さくする断熱と暖房、浴室の段差解消と手すりを挙げている。
  • 要支援・要介護の認定を受けた家族がいる場合、手すりの取付けや段差の解消、床材の変更は介護保険の住宅改修の対象になり、支給限度基準額は1人生涯20万円。原則として工事の前に市町村への申請が必要になる。

冬の入浴事故はどんな条件で起きやすいのか

冬の入浴事故が起きやすい条件とは、暖かい部屋から寒い脱衣所・浴室へ移るときの大きな温度差と、熱い湯に長くつかることの2つで、消費者庁はこれらを血圧の急な変動と体温の上昇による意識障害の要因として挙げています。浴槽内での溺死・溺水で亡くなる人の大半は65歳以上です。

数字で見る浴槽での事故

消費者庁が令和7年12月23日に公表した「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」は、厚生労働省の人口動態統計をもとに、浴槽での事故の死亡者数を示しています。

項目(令和6年)人数
浴槽内での溺死・溺水と浴槽への転落による溺死・溺水の死亡者数7,776人
そのうち65歳以上7,363人(約95%)
参考:65歳以上の交通事故による死亡者数2,103人

出典:消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」(令和7年12月23日)。元の統計は厚生労働省「人口動態統計」。

同じ資料は、東京消防庁の統計で、溺れる事故による65歳以上の救急搬送が冬場に増える傾向があることも紹介しています。

温度差と長湯が重なる

消費者庁は、冬に入浴中の事故が増える原因として、暖かい室内と寒い脱衣所や浴室との温度差による急激な血圧の変動と、熱い湯の浴槽に長くつかって体温が上がることによる意識障害を挙げています。

ヒートショックという言葉は、一般にこのうち温度差による血圧の変動を指して使われます。国土交通省の住まいの改修ガイドラインも、ヒートショックを防ぐため、断熱や暖房の工夫で適切な温熱環境を確保するとしています。

家の中で温度差が生まれる場所

家の中で冷えやすいのは、廊下、浴室、トイレ、洗面・脱衣室といった、居間や寝室以外の部屋です。国土交通省のガイドラインは、こうした非居室と居室の間に過度な温度差が生じないように、非居室の窓などの断熱性を高め、暖冷房設備を設けることを挙げています。

暖房の効いた居間から廊下を通って脱衣所で服を脱ぎ、浴室に入って熱い湯につかる。冬の入浴は、その短い間に温度の違う場所を続けて通る行動です。対策は、この流れのどこで温度差が大きいかを見つけることから始まります。

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雨漏りの修理で伺う家では、浴室の天井や窓まわりを見せてもらうことがあります。古いタイル張りの浴室では、窓が一枚ガラスのまま、浴室にも脱衣所にも暖房がない家に出会います。住んでいる方にとっては長年の当たり前なので、寒さを不便と感じていないこともあります。

消費者庁の資料は、部屋ごとの温度差を温度計で確かめることを勧めています。居間と脱衣所と浴室に温度計を一つずつ置いて、冬の夜に見比べてみてください。どこから手をつけるかは、その数字で決められます。


温泉で掲示される入浴の注意を自宅の浴室に置き換える

温泉で掲示される入浴の注意とは、温泉法にもとづいて温泉施設に掲示が求められている入浴上の注意事項で、食事の直後や飲酒後の入浴を避ける、かけ湯をする、入浴の前後に水分をとる、浴槽からゆっくり出るなど、自宅の入浴にも置き換えられる項目が多く含まれています。一方で、泉質に関わる項目は自宅の湯には当てはまりません。

温泉施設に注意書きが貼られている理由

温泉法は、温泉を公共の浴用や飲用に供する施設に、温泉の成分や禁忌症、入浴または飲用上の注意を掲示するよう求めています。掲示の内容は、環境省の自然環境局長通知「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」(平成26年7月1日改訂)で基準が示されており、環境省の「温泉法に関する通知・ガイドライン等について」で読むことができます。

環境省は、日本温泉気候物理医学会の監修でまとめたリーフレット「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」でも、同じ注意を利用者向けに紹介しています。

自宅にそのまま置き換えられる項目

通知の入浴上の注意と、消費者庁が呼びかける自宅での入浴の注意を並べると、重なる項目が多くあります。

温泉の入浴上の注意(環境省の基準)自宅の入浴での置き換え
食事の直前・直後と飲酒後の入浴は避ける消費者庁も、食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品を服用した後の入浴を避けるよう呼びかけている
浴槽に入る前に、手足からかけ湯をして体を洗い流す浴槽に入る前に、手足から順にかけ湯をする
入浴前に水分を補給する(特に起床直後)。入浴後もコップ一杯程度の水分を補給する入浴前に水分をとり、上がった後にも飲む。消費者庁も入浴前の水分補給を呼びかけている
高齢者、高血圧症・心臓病の人、脳卒中の経験がある人は42℃以上の高温浴を避ける消費者庁の目安は、湯温41度以下、湯につかる時間は10分まで
入浴時間は、初めは3〜10分程度から長湯を避け、タイマーで時間を見える化する
浴槽から出るときは、立ちくらみを防ぐためゆっくり出る浴槽から急に立ち上がらない
高齢者、子ども、身体の不自由な人は、一人での入浴は避けることが望ましい入浴前に同居者に一声掛け、同居者はこまめに声を掛けて様子を確かめる
入浴後は保温し、30分程度安静にする上がったらすぐに体をふいて服を着て、暖かい部屋で休む

出典:環境省自然環境局長通知(環自総発第1407012号、平成26年7月1日)、消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」(令和7年12月23日)、消費者庁「コラムVol.12 高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―」。

湯温の目安は、温泉の基準が「42℃以上を避ける」、消費者庁が「41度以下」と書き方が違いますが、どちらも熱い湯を避ける方向で一致しています。自宅では、給湯器の設定温度と、浴槽の湯の温度計の両方で確かめると、目安を守りやすくなります。

温泉と自宅で扱いが違う項目

温泉の注意には、泉質に関わる項目もあります。たとえば入浴後の扱いについて、通知は温水で洗い流さずタオルで水分をふき取るとしたうえで、肌の弱い人は刺激の強い泉質などでは温水で洗い流したほうがよいとしています。自宅の水道水を沸かした湯には、こうした泉質ごとの違いはありません。

温泉の掲示を読むときは、入浴の仕方の注意と、その温泉の成分に関わる注意を分けて読むと、自宅に持ち帰れる部分がはっきりします。泉質の名前や源泉の持ち方が湯にどう関わるかは、泉質と源泉の違いを整理した解説が具体的な温泉地を例に説明しています。

旅先の温泉でも同じ注意を使う

冬に高齢の家族と温泉に出かけるときも、ここまでの注意はそのまま使えます。大浴場では脱衣所から浴場、露天風呂へと温度の違う場所を移ることがあるので、自宅と同じく、食事の直後や飲酒後を避け、水分をとってから、かけ湯をして入ります。

宿を選ぶ段階では、浴場の造りや客室の風呂の有無も、家族で入浴の仕方を決める材料になります。北陸では、北陸・あわら温泉の宿を比較しているサイトのように、温泉地の宿の泉質や設備をまとめて見比べられる情報もあります。

村上 健司 村上 健司

温泉の注意書きは、多くの人が同じ湯に入る場所のためのものですが、中身を読むと、入る前・入っている間・上がった後の動き方の話がほとんどです。住宅の話に置き換えると、「家の性能を変えなくても、入り方で減らせる危険がある」ということです。

家の寒さを直すリフォームは時間も費用もかかります。工事を決める前の冬からでも、温泉の注意書きと同じ入り方は今日から始められます。


今夜からできる、自宅での入浴の手順

自宅での入浴の手順とは、入浴前に脱衣所と浴室を暖めて水分をとり、家族に声を掛けてから、かけ湯をして41度以下の湯に10分までを目安につかり、浴槽からはゆっくり立ち上がって、上がった後も暖かい部屋で休む一連の流れです。消費者庁と環境省の注意を、入浴の順番に並べ直すとこの形になります。

入る前

  1. 脱衣所と浴室を前もって暖める
  2. 居間・脱衣所・浴室の温度を温度計で確かめる
  3. 食後すぐ、飲酒後、医薬品を服用した後は入浴を避ける
  4. コップ一杯程度の水分をとる
  5. 家族に「今から入る」と声を掛ける

暖める目的は、居間と脱衣所、脱衣所と浴室の温度の差を縮めることです。温度計で、暖める前と後の数字を比べておくと、どのくらい前から暖めればよいかの見当がつきます。

入っている間

  1. 手足から順にかけ湯をする
  2. 湯温は41度以下を目安にし、温度計で確かめる
  3. 湯につかる時間は10分までを目安にし、タイマーを使う
  4. 浴槽から出るときは、急に立ち上がらず、ゆっくり出る
  5. 意識がもうろうとしてきたら、気を失う前に湯を抜く

上がった後と、家族の見守り

上がったら、すぐに体をふいて服を着て、暖かい部屋で休み、水分をとります。環境省の基準は、入浴後に保温して30分程度安静にすることを挙げています。

家族は、入浴中にこまめに声を掛けて様子を確かめます。消費者庁は、入浴の時間が長い、音がまったくしない、突然大きな音がしたなど、異常を感じたらためらわずに声を掛けるよう呼びかけています。

持病があったり、血圧の薬などを飲んでいたりする家族の入浴の仕方は、かかりつけの医師に相談してください。この記事で紹介した目安は、公的機関が一般向けに示しているものです。


脱衣所と浴室を暖める・断熱するリフォームの選択肢

脱衣所と浴室の寒さを減らすリフォームとは、暖房設備を加えて室温を上げる方法と、窓などの断熱性を高めて熱を逃がしにくくする方法の2つを組み合わせて、居間との温度差を小さくする工事です。国土交通省のガイドラインは、非居室の開口部を内窓や高断熱サッシで断熱化し、浴室や脱衣室にも暖冷房設備を設置することを例に挙げています。

暖める:浴室と脱衣所の暖房

国土交通省の「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」は、浴室、脱衣室、トイレにも適切な暖冷房設備を設置することを挙げています。浴室では天井や壁に付ける浴室暖房、脱衣所では壁付けの暖房機などが選択肢になります。

非居室に暖房を置くのが難しい場合について、同じガイドラインは、居室の暖冷房で非居室も含めて暖冷房できるよう間取りを工夫することも挙げています。

逃がさない:窓とドアの断熱

暖房を入れても、窓から熱が逃げれば室温は上がりにくくなります。ガイドラインは、廊下や浴室、トイレ、洗面・脱衣室などの開口部を、内窓や高断熱サッシ、玄関ドアなどで断熱化する方法を挙げています。浴室や脱衣所に窓がある家では、まずその窓を見ます。

浴室そのものを替える

ガイドラインには、在来工法(タイル張り)の浴室をユニットバスにするという改修も挙げられています。浴槽内の湯温を適切に制御できる給湯器の導入も、同じガイドラインの項目です。湯温の目安を守るには、給湯器で温度を設定できることが前提になります。

村上 健司 村上 健司

建てる側の段取りで言うと、浴室暖房や脱衣所の暖房機は、電源をどこから取るか、換気扇との兼ね合いをどうするかで、工事の範囲が変わります。浴室をユニットバスに替える工事と同時なら、天井や壁を開ける作業が一度で済みます。

反対に、浴室を替えた数年後に暖房だけを足すと、仕上がった天井や壁に後から手を入れることになります。浴室まわりを直すなら、暖房・窓・手すりのどこまでを今回に含めるかを、見積もりの前に家族で決めておいてください。


手すり・段差・床材で転倒と立ち上がりに備える

浴室まわりの安全のためのリフォームとは、浴槽の出入りや立ち上がりを支える手すりの取付け、脱衣所と浴室の段差の解消、滑りにくく転んだときの衝撃に配慮した床材への変更などで、急に立ち上がらない、ゆっくり出るといった入浴の注意を、体の支えの面から助ける工事です。国土交通省のガイドラインも、浴室の段差解消、縦手すりや手すりの下地の設置を挙げています。

手すりと手すりの下地

ガイドラインは、トイレや浴室内での安全のため、段差の解消、広さの確保、縦手すりや手すりの下地の設置を挙げています。浴槽から出るとき、洗い場で立ち上がるとき、脱衣所へ出るときと、体を支えたい場面は浴室の中でも複数あります。

手すりは、壁の中に取り付けるための下地があるかどうかで工事の内容が変わります。今すぐ手すりを付けない場合でも、浴室や脱衣所を直す機会に下地だけ入れておく方法があります。

段差の解消と出入口

脱衣所と浴室の間の段差は、出入りのときにつまずく原因になります。ガイドラインは、寝室からトイレまでの経路の段差解消や照明の増設、ドアの引き戸化なども挙げています。夜中に浴室やトイレへ向かう動線も、あわせて見直す対象です。

滑りにくい床材

ガイドラインは、床を滑りにくさや転倒時の衝撃に配慮した仕上げにすることを挙げています。濡れた浴室の床と、濡れた足で歩く脱衣所の床の両方が対象になります。

介護保険の住宅改修でも、滑りの防止や移動の円滑化のための床または通路面の材料の変更が、対象工事の一つになっています。


浴室まわりのリフォーム費用の考え方と介護保険の住宅改修

浴室まわりのリフォーム費用の考え方とは、暖房・断熱・安全の工事を、今回どこまでまとめて行うかで工事の範囲を決め、要支援・要介護の家族がいる場合は介護保険の住宅改修を使えるかを工事の前に確かめることです。介護保険の住宅改修の支給限度基準額は1人生涯20万円で、原則として着工前の申請が必要です。

工事の範囲で費用が変わる

浴室まわりの工事費は、何をどこまで行うかで大きく変わります。暖房機を足すだけの工事、窓に内窓を付ける工事、浴室全体をユニットバスに替える工事では、壁や天井を開ける範囲も、職種の数も違います。

費用を比べるときは、同じ範囲の工事どうしで比べることが前提です。見積書で確かめたい項目は、リフォームで失敗しないために|建築士が教える見積もり段階で確認すべき10のポイントにまとめています。

介護保険の住宅改修で対象になる工事

厚生労働省の住宅改修の資料によると、介護保険の住宅改修の対象になるのは次の工事です。

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • 上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

浴室暖房の設置や窓の断熱は、この一覧に含まれていません。暖房・断熱の工事と、手すり・段差・床材の工事は、介護保険の扱いが分かれる点に気をつけます。

支給限度基準額と申請の流れ

項目内容
支給限度基準額1人生涯20万円(要支援・要介護の区分にかかわらず定額)
保険給付原則9割(上限18万円)。所得に応じて8割(上限16万円)または7割(上限14万円)
再設定要介護状態区分が3段階上がった場合や転居した場合は、改めて20万円まで
工事の前市町村に申請し、内容の確認を受ける。支給申請書、工事費見積り書、住宅改修が必要な理由書、完成予定の状態が分かるもの(日付入りの写真や間取り図など)を出す
工事の後領収書、工事費内訳書、改修前後の写真などを出して、正式な支給申請をする

出典:厚生労働省「住宅改修の概要」。やむを得ない事情がある場合は工事の完成後に申請書類を出せる扱いもあります。詳しい手続きは、住んでいる市町村の介護保険の窓口で確かめます。

住宅改修が必要な理由書は、介護支援専門員(ケアマネジャー)や地域包括支援センターの職員などが作ります。浴室の手すりを考え始めたら、工事を頼む前に担当のケアマネジャーに相談すると、申請の順番を崩さずに済みます。介護保険の制度全体は、厚生労働省の「福祉用具・住宅改修」のページで確かめられます。

断熱改修の補助と、契約の前に確かめること

窓の断熱などの省エネ改修には、国や自治体の補助制度が設けられることがあります。対象や金額、受付期間は年度ごとに変わるため、工事を決める前に、国や住んでいる自治体の公式の案内で、その時点の内容を確かめます。

「寒い浴室は危ない」と訪ねてきた業者にその場で契約を迫られた場合は、契約を解除できるかどうかの問題になります。解除の条件はリフォームのクーリング・オフは工事後も使える?8日の数え方と条件で、工事の欠陥に備える保険はリフォーム瑕疵保険とは?5年・1年の対象と着工前の頼み方・倒産時の請求で整理しています。

村上 健司 村上 健司

介護保険の住宅改修は、工事の前に申請して確認を受けるのが原則です。手すりを付けた後で制度を知っても、順番が逆になってしまいます。浴室のリフォームを相談する段階で、家族に要支援・要介護の認定を受けている人がいるかどうかを、工事の担当者に最初に伝えてください。

工事の担当者の側も、それが分かっていれば、介護保険の対象になる工事とならない工事を見積書の中で分けて書けます。申請に使う写真も、工事の前でなければ撮れません。


よくある質問

冬のヒートショック対策では、自宅で何をすればよいですか?

入浴前に脱衣所と浴室を暖めて温度差を小さくし、湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にします。消費者庁は、入浴前の水分補給、食後すぐや飲酒後・医薬品服用後の入浴を避けること、浴槽から急に立ち上がらないこと、同居者への声掛けもあわせて呼びかけています。

温泉の入浴の注意は、自宅の風呂にも当てはまりますか?

入浴の仕方に関する注意の多くは当てはまります。食事の直後や飲酒後の入浴を避ける、かけ湯をする、入浴の前後に水分をとる、浴槽からゆっくり出る、高齢者は一人での入浴を避けるといった項目は、消費者庁が呼びかける自宅での注意と重なります。泉質に関わる注意は、自宅の湯には当てはまりません。

冬に入浴中の事故が増えるのはなぜですか?

消費者庁は、暖かい室内と寒い脱衣所や浴室との温度差による急激な血圧の変動と、熱い湯に長くつかって体温が上がることによる意識障害を原因に挙げています。令和6年に浴槽内での溺死・溺水などで亡くなった7,776人のうち、65歳以上が7,363人でした。

脱衣所や浴室の寒さを減らすリフォームには何がありますか?

浴室暖房や脱衣所の暖房機を加えて暖める方法と、窓に内窓や高断熱サッシを付けて熱を逃がしにくくする方法があります。国土交通省のガイドラインは、在来工法のタイル張りの浴室をユニットバスにすることや、湯温を適切に制御できる給湯器の導入も挙げています。

浴室の手すりの取付けに介護保険は使えますか?

要支援・要介護の認定を受けている人の住宅であれば、手すりの取付けは介護保険の住宅改修の対象で、支給限度基準額は1人生涯20万円です。原則として工事の前に市町村へ申請し、確認を受ける必要があります。浴室暖房の設置や窓の断熱は、住宅改修の対象工事に含まれていません。

高齢の家族が入浴中に異変を起こしていないか、どう気づけばよいですか?

入浴前に声を掛けてもらい、入浴中もこまめに声を掛けて様子を確かめます。消費者庁は、入浴の時間が長い、音がまったくしない、突然大きな音がしたなど、異常を感じたらためらわずに声を掛けるよう呼びかけています。


まとめ

冬のヒートショック対策は、脱衣所と浴室を暖めて温度差を小さくし、41度以下の湯に10分までを目安につかり、入浴前の水分補給と家族の声掛けで異変に早く気づけるようにすることが基本です。

温泉施設で掲示される入浴上の注意のうち、食事の直後や飲酒後を避ける、かけ湯をする、入浴の前後に水分をとる、ゆっくり浴槽を出るといった入り方の注意は、自宅の入浴にそのまま置き換えられます。

家の側を直すなら、暖房、窓などの断熱、手すり・段差・床材の3つに分けて、今回どこまで行うかを決めます。要支援・要介護の家族がいる場合、手すりや段差の解消、床材の変更は介護保険の住宅改修の対象になるため、工事の前に市町村への申請を済ませます。

本記事で取り上げた統計、入浴の注意、介護保険の住宅改修の内容は、に各機関の公式資料で確認したものです。体調や持病に応じた入浴の仕方は、かかりつけの医師に確かめてください。介護保険の手続きの詳細は、住んでいる市町村の窓口で確かめてください。

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