リフォームのクーリング・オフとは、自宅など営業所以外で契約したリフォーム工事を、最初に受け取った申込書面か契約書面の日から8日以内なら、理由を問わず解除できる特定商取引法の制度です。工事が始まった後や終わった後でも期間内なら、事業者は工事代金も違約金も請求できず、受け取ったお金を返す義務を負い、工事で変わった屋根や外壁は無償で元に戻すよう請求できます。
「点検だけと言われて屋根を見てもらったら、その日のうちに契約書にサインしていました。翌日には足場が組まれて、もう断れないと思っています」
足場が立ち、屋根の一部がはがされると、工事を止めることは現実的でないように見えます。サインをしたのは自分だから、と自分を責めてしまう方もいます。
ただ、特定商取引法のクーリング・オフは、工事が進んだ後に解除する場面まで条文で手当てしています。ここでは、使える契約と使えない契約の境目、工事後の代金・返金・原状回復の扱い、8日の数え方と書面に不備がある場合、通知の出し方、見積もりのつもりで呼んだ業者との契約、8日を過ぎた後の手段を、法令と消費者庁・国民生活センターの資料をもとに整理します。
- 自宅など営業所以外で契約したリフォーム工事や、業者からの電話で勧誘されて契約した工事は、書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフできる。
- 着工後や完了後でも期間内なら、事業者は工事代金も違約金も請求できず、受け取ったお金を返す義務を負い、工事で変わった建物は無償で元に戻すよう請求できる。
- 8日は申込書面と契約書面のうち早く受け取った日を1日目に数える。書面がない場合やクーリング・オフの記載に不備がある場合は、国の通達では期間が進まないとされる。
- 見積もりだけのつもりで呼んだ業者とその場で契約した場合も、原則としてクーリング・オフの対象から外れない。
- 8日を過ぎても、過量販売の解除や、うその説明を理由にした取消しが使える場合がある。
リフォームのクーリング・オフはどんな契約に使えるのか
リフォームのクーリング・オフが使えるのは、自宅など事業者の営業所以外で申込みや契約をした「訪問販売」と、業者からの電話で勧誘されて申し込んだ「電話勧誘販売」の工事契約です。自分から店舗に出向いて申し込んだ契約や、営業のために結んだ契約などは対象から外れます。
自宅で契約したリフォームは訪問販売に当たる
特定商取引に関する法律(以下、特定商取引法)第2条第1項は、事業者が営業所等以外の場所で契約の申込みを受けたり契約を結んだりして行う役務の提供を「訪問販売」と定めています。リフォームは工事という役務を有償で提供する契約なので、自宅の玄関先や居間で申込書や契約書に署名した場合は、この訪問販売に当たります。
訪問販売のクーリング・オフは同法第9条に定めがあり、通知は書面か電子メールなどの電磁的記録で行います。制度の全体像は、消費者庁の特定商取引法のページにまとめられています。
電話で勧誘された場合・店舗で契約した場合
業者からかかってきた電話で勧誘され、電話や郵送などで申込みや契約をした場合は、同法第2条第3項の「電話勧誘販売」に当たります。電話勧誘販売にも第24条にクーリング・オフの定めがあり、書面を受け取った日から8日以内であれば、訪問販売と同じ内容で解除できます。
電話でアポイントを取った業者が自宅に来て、その場で契約した場合は、訪問販売として扱われます。一方、自分から店舗やショールームに出向いて申し込んだ契約は、訪問販売の定義に当たりません。ただし、路上などで呼び止められて営業所に連れて行かれた「特定顧客」との契約は、営業所の中で結んでも訪問販売です(第2条第1項第2号)。
クーリング・オフの対象から外れる主な場面
| 場面 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 営業のために結んだ契約 | 第26条第1項第1号 | 申込者が営業のために、または営業として結ぶ契約。 賃貸物件の工事などが当たるかは一律には決まらない |
| 少額で、その場で工事と支払いが済んだ契約 | 第26条第5項第3号 | 契約時に工事の提供と代金全額の受け取りが済み、 総額が政令で定める3,000円未満のもの |
| 自宅で契約したいと自分から求めた契約 | 第26条第6項第1号 | 契約する意思をあらかじめ持ち、 自宅で契約したいと明確に伝えて業者を呼んだ場合 |
このほかにも、法律と政令で定める適用除外があります。自分から業者を呼んだ場合の範囲は、国の通達で狭く示されています。
工事が始まった後・終わった後でもクーリング・オフできるのか
訪問販売や電話勧誘販売で契約したリフォームは、工事に着手した後でも終わった後でも、8日の期間内であればクーリング・オフできます。事業者は工事代金も違約金も請求できず、受け取ったお金を速やかに返す義務を負い、工事で変わった屋根や外壁などは無償で元に戻すよう請求できます。
書面が正しく渡されていれば、期限は書面を受け取った日から8日です。工事が終わった後でもクーリング・オフが使えるのは、次のいずれかに当たる場合です。
- 8日のうちに工事が始まり、終わってしまった場合
- 書面が渡されていない、またはクーリング・オフの記載に不備があり、国の通達の解釈では8日の数え始めが来ていない場合
- クーリング・オフについて事実と違う説明をされたり、威圧されたりして、期間内に通知を出せなかった場合(第9条第1項ただし書)
工事代金も違約金も請求できない
特定商取引法第9条第3項は、クーリング・オフに伴う損害賠償や違約金を事業者が請求できないと定めています。キャンセル料や解約手数料という名目であっても、違約金として請求することはできません。
さらに第5項は、役務がすでに提供された場合でも、事業者は役務の対価その他の金銭を請求できないとしています。足場を組んだ、古い屋根材を撤去した、新しい屋根材を葺き終えたといった工事の段階にかかわらず、期間内の解除であれば工事代金を払う義務は生じません。
支払った着手金や代金は返還される
第9条第6項は、事業者が契約に関連して受け取った金銭を「速やかに」返還しなければならないと定めています。着手金、前払い金、工事代金の一部など、契約に関連して支払ったお金が返還の対象です。
工事で変わった屋根や外壁は元に戻すよう請求できる
第9条第7項により、工事に伴って土地や建物その他の工作物の状態が変わったときは、事業者に対し、元に戻すために必要な措置を無償で講じるよう請求できます。屋根材をはがした、外壁に穴をあけたといった変化は、その典型的な例です。具体的にどこまで、どのように戻すかは、個々の事案ごとに決まります。
給湯器などの設備機器を商品として買った契約では、すでに引き渡された商品の引取りにかかる費用も販売業者の負担です(第9条第4項)。事業者が持ち込んだ資材などの扱いは、解除を伝えた後のやり取りの中で確かめ、記録に残しておきます。
「クーリング・オフはできません」という特約は無効
第9条第8項は、これらの規定に反する特約で申込者に不利なものを無効としています。契約書に「着工後の解約不可」「工事開始後はクーリング・オフの対象外」といった条項があっても、期間内であればクーリング・オフは妨げられません。
直す側から見ると、屋根材を一度はがした屋根は、防水を受け持つ下葺き材がむき出しになり、雨にとても弱い状態です。クーリング・オフが成立しても、元に戻るまでの間に雨が入ってしまっては困ります。
解除の通知そのものは簡潔に出し、元に戻すまでの雨養生は別にやり取りして、日付と内容を記録に残しておくと、話が食い違いにくくなります。
クーリング・オフの8日はいつから数えるのか
クーリング・オフの8日は、申込書面と契約書面のうち早く受け取った日を1日目として数えます。8日以内に通知を発信すれば効力があり、書面が渡されていない場合やクーリング・オフの記載に不備がある書面しかない場合は、国の通達では8日の数え始めが来ていないとされています。
1日目は書面を受け取った日
特定商取引法第9条第1項は、第5条の契約書面を受け取った日(その前に第4条の申込書面を受け取っていればその日)から「起算して八日」を経過すると、クーリング・オフできないと定めています。国民生活センターのクーリング・オフの解説も、申込書面と契約書面のいずれか早いほうを受け取った日から起算するとしています。
受け取った日を1日目に数えるので、月曜日に申込書面を受け取ったら、翌週の月曜日が8日目です。この日までに通知を出せば間に合います。
第4条は申込みを受けたときに「直ちに」申込書面を、第5条は契約を結んだときに「遅滞なく」契約書面を渡すよう事業者に求めています。申込みを受けたその場で契約を結んだ場合は、契約書面を直ちに渡さなければなりません。どちらの書面にも、クーリング・オフに関する事項を記載しなければなりません。
8日以内に「出せば」間に合う
第9条第2項は、クーリング・オフは書面や電磁的記録による通知を「発した時」に効力を生じると定めています。8日目に郵便局ではがきを出したり、メールを送信したりすれば、業者に届くのが9日目以降になっても期間内の通知です。
書面がない・記載に不備がある場合
確認日時点で消費者庁の特定商取引法ガイドに掲載されている令和6年11月19日付けの通達は、申込書面や契約書面が渡されない場合は8日の起算日が来ず、クーリング・オフできる期間が続くとしています。
同じ通達は、重要な事項が書かれていない書面も同様とし、特にクーリング・オフができる旨が書かれていないなど、クーリング・オフに関する記載事項を満たさない書面は法定の書面と認められないとしています。見積書や工事の注文書だけを渡され、クーリング・オフの説明がどこにもない場合は、この点を確かめる意味があります。
通達は行政の解釈で、個々の事案で裁判所が同じ判断をすることを約束するものではありません。
うそや威圧で期間内に出せなかった場合
業者が「工事が始まったらクーリング・オフはできない」などとクーリング・オフについて事実と違うことを告げて誤解させたり、威圧して困らせたりしたために8日以内に通知できなかった場合は、業者が改めて交付した所定の書面を受け取った日から8日間、クーリング・オフできます(第9条第1項ただし書)。
現場監督として工事に関わっていた頃、契約書や工程表は日付がすべての基準でした。いつ渡したか、いつ受け取ったかが、後のやり取りを左右します。
訪問販売で書面を受け取ったら、その日のうちに、書面の余白やスマートフォンのメモに受け取った日を書き残しておいてください。8日を数えるときも、書面に不備がないかを相談するときも、その日付が出発点になります。
クーリング・オフの通知はどう出すのか
クーリング・オフの通知は、はがきなどの書面か、電子メールや事業者のウェブサイトの専用フォームなどの電磁的記録で出せます。はがきは両面をコピーして特定記録郵便や簡易書留で送り、工事代金を信販会社との分割払いの契約で支払う場合は、販売会社とクレジット会社の両方に同時に通知します。
- 申込書面と契約書面を並べ、早く受け取ったほうの日付を確かめる
- 通知文を書く(契約年月日、販売会社名と担当者名、工事名、契約金額、「上記の契約を解除いたします。」の一文、通知日、自分の住所と氏名)
- はがきなら両面をコピーし、メールやフォームなら送信内容が分かる画面を保存する
- はがきは特定記録郵便か簡易書留で出し、メールやフォームは送信済みの記録を残す
- 分割払いのクレジット契約があれば、クレジット会社にも同時に通知する
- 書面のコピーや郵便の受領証など、関係書類をまとめて保管する
はがきで出す場合
消費者庁の特定商取引法ガイドにあるクーリング・オフ ハガキの書き方は、はがきを出す前に両面をコピーし、簡易書留や特定記録などで記録が残るように出すよう案内しています。通知例の記載項目は手順2のとおりで、解除の理由を書く欄はありません。
国民生活センターは、関係書類を少なくとも5年間保管するよう勧めています。
電子メールなどで出す場合
特定商取引法第9条第1項は、書面のほかに電磁的記録による通知を認めています。国の通達は電磁的記録の例として、電子メール、USBメモリ等の記録媒体、事業者のウェブサイトに設けられたクーリング・オフ専用フォームを挙げており、消費者庁のハガキの書き方の資料はFAXも例に挙げています。
メールやフォームで出す場合も、送信日時と内容が分かる画面を保存しておきます。
分割払いのクレジット契約がある場合
リフォーム工事では、工事の契約書と一緒に、信販会社との分割払いの契約(クレジット契約)を結ぶことがあります。国民生活センターは、クレジット契約をしている場合は販売会社とクレジット会社に同時に通知するよう案内しています。
クレジットカードでの支払いなど、支払い方法による扱いの違いは、消費生活センターで確かめてください。
自分で見積もりを頼んだ業者でもクーリング・オフできるのか
自分で見積もりを頼んで来てもらった業者とその場で契約した場合も、クーリング・オフは原則として使えます。自分で呼んだことを理由に対象外になるのは、契約する意思をあらかじめ持ち、自宅で契約したいと明確に伝えて呼んだ場合で、消費者庁と経済産業省の通達はこの範囲を狭く示しています。
対象外になる「請求した者」の範囲は狭い
特定商取引法第26条第6項第1号は、自宅で契約の申込みや締結をすることを「請求した者」に対する訪問販売を、クーリング・オフを含む規定の対象から外しています。消費者庁の特定商取引法ガイドに掲載されている令和6年11月19日付けの通達(通達の本文)は、この「請求した者」を、契約の申込みや締結をする意思をあらかじめ持ち、自宅で契約したいと明確に意思表示した場合と説明しています。
同じ通達は、単なる問合せや資料の郵送を頼んだ際に業者から訪問説明を申し出られて承諾した場合や、業者が電話でアポイントを取って訪問した場合は、これに当たらないとしています。
見積もりや修理のつもりで呼んだ業者とその場で契約した場合
通達は、台所の水漏れの修理を頼んで来訪した業者に台所のリフォームを勧められた場合や、見積もりだけを目的に訪問を頼んだ業者とその場で修理などの契約を結んだ場合は、適用除外に当たらないとの解釈を示しています。
雨漏りの修理を頼んで来てもらった業者に、屋根全体の葺き替えや外壁の塗装を勧められ、その場で契約した場合も、同じ考え方で整理できます。見積もりを依頼する段階で確かめておきたい項目は、見積もり段階で確認すべき10のポイントにまとめています。
「自分で呼んだから対象外」と言われたとき
業者から「お客様から呼ばれたので、クーリング・オフの対象ではありません」と説明されても、そのまま受け取る必要はありません。消費者庁の訪問販売等の適用除外に関するQ&Aも、「請求した者」に当たるのは明確な意思表示をした場合としています。
同じQ&Aは鍵の修理を例に、チラシに表示された金額と実際の請求額に大きな差がある場合も「請求した者」に当たらないとしています。広告を見て呼んだ業者に、広告とかけ離れた金額の工事を契約させられた場合も、この考え方が手がかりになります。
通達は行政の解釈で、個々の事案の判断は契約までの経緯によって変わります。迷うときは、業者を呼んだときの電話やメールの内容を手元に残したうえで、相談窓口に確かめます。
8日を過ぎたリフォーム契約に残る手段と相談先
訪問販売で契約したリフォームは、8日を過ぎた後でも、通常必要な量を著しく超える工事なら契約から1年以内の解除、うその説明で契約したなら取消しができる場合があります。どちらも条件付きの個別判断で、消費者ホットライン188や住まいるダイヤルに相談できます。
次々に工事を契約させられた場合
特定商取引法第9条の2は、日常生活で通常必要とされる回数や分量などを著しく超える役務提供契約について、申込みの撤回や解除を認めています。行使できるのは、契約を結んだ時から1年以内です。
何度かに分けて契約させられた場合は、事業者が通常必要な量を著しく超えることを知りながら契約させたことが要件になります。どちらの場合も、申込者に契約を必要とする特別の事情があったときは解除できません。住宅リフォームでの考え方は、消費者庁が訪問販売等による悪質な住宅リフォームに関する消費者トラブルへの対策の中で示しています。
うその説明で契約した場合
第9条の3は、工事の必要性や内容などについて事実と違うことを告げられたり、工事の内容や代金などの重要な事項を故意に告げられなかったりして誤認し、契約した場合に、契約を取り消せると定めています。取消しは、うそだと気づくなど追認できる時から1年以内、かつ契約から5年以内に行います。
迷ったときの相談先
消費者ホットライン188は、地方公共団体が設けている身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内する全国共通の窓口です。消費者庁につながる窓口ではありません。
工事の内容が妥当か、見積もりが適切かを第三者に見てもらいたいときは、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの住まいるダイヤルがあります。建築士による電話相談、契約前のリフォーム見積チェック、弁護士・建築士による専門家相談を案内しており、受付の方法は同センターのサイトで確かめられます。
消費者庁のチラシ「悪質な住宅リフォームの訪問販売に御注意ください」も、この2つを相談先として挙げています。
元現場監督が見る、着工を急ぐ屋根の訪問販売と法律の歯止め
屋根の点検から始まる訪問販売には、点検をきっかけに不安をあおって契約を急がせる勧誘の型があると、国民生活センターが注意を呼びかけています。組まれた足場やはがされた屋根材は解除をあきらめる理由にならず、うその説明や威圧はクーリング・オフの期間や取消しに関わります。
点検から始まる勧誘の型
国民生活センターの2023年10月11日の報道発表は、屋根工事の点検商法の勧誘トークを、訪問・点検のきっかけ、不安をあおる、負担が軽くなると思わせる、次々に違う工事を勧誘する、の4つに分けて示しています。トークの例には「近所で行う工事の挨拶に来た」「このままだと瓦が飛んでご近所に迷惑がかかる」などが挙がっています。
同じ発表は、突然訪問してきた業者に安易に点検させないこと、屋根工事はすぐに契約せず十分に検討したうえで契約することを助言しています。災害の後の便乗商法への備えは、災害に強い住まいとは?停電・便乗商法への備えを専門家対談で解説でも取り上げています。
足場とはがした屋根は「戻せない」理由にならない
屋根は、住んでいる人が自分で上がって確かめにくい部位です。点検の写真を見せられ、その場で判断を求められると、比べる材料がないまま契約に進みやすくなります。消費者庁のチラシは、複数の事業者から見積もりを取り、工事前後の写真などの記録を事業者からもらうよう勧めています。
契約の直後に足場が組まれ、屋根材がはがされると、施主の側では「ここまで進んだら戻せない」と受け取りやすい状態になります。しかし特定商取引法は、工事が提供された後でも事業者は代金を請求できないこと、建物の状態が変わったときは無償で元に戻すよう請求できることを定めています。工事の進み具合は、期間内のクーリング・オフをあきらめる理由になりません。
目的を告げない勧誘は法律違反、うその説明は期間と取消しに響く
特定商取引法第3条は、勧誘の前に事業者名、契約の勧誘が目的であること、工事の種類を明らかにするよう求めています。「点検だけ」「近くの工事の挨拶」と言って勧誘の目的を告げずに話を始めるのは、この義務に反する形です。断った人への再勧誘は、第3条の2第2項で禁止されています。
第6条は、工事の必要性など「契約の締結を必要とする事情」やクーリング・オフについて事実と違うことを告げること、工事の内容や代金などの重要な事項を故意に告げないこと、威圧して困らせることを禁じています。
目的を告げない勧誘そのものは、クーリング・オフの期間や取消しに直接結びつくわけではありません。期間に響くのは、クーリング・オフについてうその説明をされたり威圧されたりして8日以内に通知できなかった場合で、期間が改めて数え直されます(第9条第1項ただし書)。工事の必要性などについてうその説明を受けて誤認して契約した場合は、取消しの対象になります(第9条の3)。
消費者庁のチラシが注意点の最初に挙げているのは、リフォームの勧誘を受けたらその場で即決しないことです。
建てる側にいた頃、見積もりは現地を調べ、寸法や数量を拾い、書面にまとめるまでに日数がかかるものでした。工事に入るにも、材料の手配、足場の段取り、職人の手配が要ります。
点検したその日に契約書が出てきて、翌日には屋根材の撤去が始まる。そうした段取りは、工程の都合だけでは説明しにくい進み方です。急がされたと感じたら、書面を受け取った日を書き留め、ほかの業者や相談窓口に見てもらう時間をつくってください。
よくある質問
リフォームはクーリング・オフできますか?
自宅など営業所以外で申し込んだり契約したりしたリフォーム工事なら、申込書面と契約書面のうち早く受け取った日から8日以内はクーリング・オフできます。業者からの電話で勧誘されて電話や郵送で契約した工事も、同じく8日以内なら解除できます。
工事が終わった後でもクーリング・オフできますか?
工事が終わっていても、書面を受け取った日から8日以内であればクーリング・オフできます。その場合、事業者は工事代金も違約金も請求できず、受け取ったお金は返還の対象になり、屋根や外壁など工事で変わった部分は無償で元に戻すよう請求できます。
自分で見積もりを頼んで来てもらった業者でもクーリング・オフできますか?
見積もりだけのつもりで呼んだ業者とその場で契約した場合でも、原則としてクーリング・オフの対象です。自分で呼んだことを理由に対象外になるのは、あらかじめ契約するつもりで、自宅で契約したいと明確に伝えて呼んだ場合で、国の通達はこの範囲を狭く示しています。
クーリング・オフの8日はいつから数えますか?
8日は、申込書面と契約書面のうち早く受け取った日を1日目として数えるため、月曜日に受け取ったら翌週の月曜日が8日目です。その日までに、はがきやメールなどで通知を発信すれば間に合います。
契約書にクーリング・オフのことが書かれていない場合はどうなりますか?
クーリング・オフの記載が欠けた書面しか受け取っていない場合、国の通達の解釈では8日の期間が始まらず、8日を過ぎてもクーリング・オフできます。書面がまったく渡されていない場合も、通達は同じ扱いとしています。
店舗やショールームで契約したリフォームもクーリング・オフできますか?
自分から店舗やショールームに出向いて申し込んだリフォームは訪問販売に当たらず、原則としてクーリング・オフの対象外です。ただし、路上などで呼び止められて店舗に連れて行かれた場合は、店舗の中で契約しても訪問販売として扱われます。
8日を過ぎたらリフォームの契約は解約できませんか?
訪問販売で契約したリフォームは、8日を過ぎても、通常必要な量を著しく超える工事を契約させられた場合は契約から1年以内の解除、工事の必要性などについてうその説明を受けて契約した場合は取消しができる場合があります。当てはまるかは、消費者ホットライン188で案内される消費生活センターで確かめます。
まとめ
リフォームのクーリング・オフは、訪問販売や電話勧誘販売で契約した工事について、着工後や完了後でも、書面を受け取った日から8日以内に通知すれば代金の支払いを免れ、原状回復も無償で請求できる制度です。
8日は申込書面と契約書面のうち早く受け取った日を1日目に数え、通知は発信した時点で効力が生じます。書面が渡されていない場合やクーリング・オフの記載に不備がある場合は、国の通達では期間が進まないとされています。
見積もりのつもりで呼んだ業者とその場で契約した場合も、原則として対象です。8日を過ぎても過量販売の解除や取消しが使える場合があるため、迷ったら消費者ホットライン188や住まいるダイヤルに相談し、書面と日付の記録を手元に残しておきます。
本記事で取り上げた法令と公的資料の内容は、に確認したものです。個別の契約がクーリング・オフの対象になるかは、契約の場所や経緯によって異なります。


雨漏りの修理で伺う家で、先に来た業者と契約を済ませていて、工事が始まった以上もう止められないと思い込んでいる方に出会うことがあります。屋根の上は住んでいる方から見えないぶん、業者の説明だけで話が進みやすい場所です。
直す側の立場から言えるのは、足場が組まれていても、屋根材がはがされていても、それだけで契約から抜け出せなくなるわけではないということです。まずは手元の書面と、それを受け取った日を確かめてください。